“先端生命医科学センター TWIns の前で 大学院ってどんなところ? 現在、早稲田大学には21の大学院があります。今回の「 研究まっしぐら! 」は、先進理工学研究科で研究に励む木村さんのキャンパスライフを紹介。大学院へ進学した理由をはじめ、学問の魅力だけでなく、一日の過ごし方も伝えます。 同級生や先生方との議論を通じて得られた生きる知識 大学院先進理工学研究科 修士課程 2年 木村 爽耶(きむら・さや) 私が所属している 坂内研究室 ( 坂内博子教授 ・理工学術院、生物物理学研究室)では、「見る」技術を使って、神経細胞やそれを構成するタンパク質に起こる変化を調べることで、脳神経疾患のメカニズムや神経細胞の生理的機能を明らかにする研究を行っています。 安全キャビネットで実験中の様子。培養した神経細胞を実験に使うので、微生物の混入を防ぐ目的で、無菌環境下で滅菌操作に注意しながら実験を行います 私が脳神経の研究に興味を持ったきっかけは、高校生の頃に見たALS(筋萎縮性側索硬化症)という神経難病を患っている方のドキュメンタリー番組です。ALSは全身の筋力が低下する病気で、体が自由に動かない状態でも毎日を懸命に生きる患者の方に心を動かされ、「治療法がない病気に立ち向かう方の力になりたい」と感じました。ALSを含め、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患には、まだ根本的な治療法が確立されていない病気が多く、神経変性疾患の治療薬の開発につながるような研究がしたいと思うようになりました。 学部は、 先進理工学部の電気・情報生命工学科 でした。進学理由は、電気・情報・生命と広く学んでから研究したい専門分野を決められる点です。さらに、これまで治療法がなかった疾患の治療薬の開発も含め、今まで解決できなかった問題を学問横断的なアプローチで解決しようとしている点にも魅力を感じたからです。また、大学に入って生命科学を学ぶ中で 、情報が電気信号や化学物質の信号へと変わりながら神経細胞で伝達される現象を学んだ時の「神経って面白い!」というワクワク感から、脳神経の研究ができる坂内研究室を選びました。 その中で、私はアルツハイマー病のモデル細胞を作る研究を行っています。モデル細胞ができれば、アルツハイマー病の原因タンパク質がどのように相互作用して病気を進行させるのかを解明したり、どんな薬剤が病気の進行を抑制するのかを細胞レベルで調べたりすることができます。 アルツハイマー病では、原因タンパク質の一つである「タウ」 が結合して塊になった凝集体が見られます。これまでもタウの凝集体を再現するような動物モデルや細胞モデルは研究されてきましたが、タウ分子が複数結合した可溶性の「オリゴマー」など初期の凝集形成過程を再現したラットの神経細胞でのモデルはほとんど実現していません。そこで私は、細胞の内外でタウを増やしたり、二つの原因タンパク質(タウとアミロイドβ)を投与したりして、タウ凝集の初期過程を再現できないか研究しています。 顕微鏡で観察中の一コマ。 美しく撮影できた画像があると、うれしくなります 研究の魅力を感じる瞬間は、普段見えないものを見ることができたときです。例えば、観察したいタンパク質に蛍光物質を結合させ、顕微鏡で観察すると、タンパク質を可視化することができます。肉眼では見えないタンパク質の量や形態、細胞の中での局在が分かることも面白いですし、観察した細胞の画像は星空のようにきれいに見えることもあります。また、先生や同期・先輩と研究内容について話す中で、自分では思いつかなかったアイデアを得られる楽しさがあります。 神経細胞内にタウを過剰に発現させ、細胞外にもタウを投与した条件の細胞 そんな研究の小さな一コマにもささやかな楽しみを見つけながら、アルツハイマー病の原因であるタウの初期病理を再現することを目指し、これからも研究に励んでいきたいです。 研究室のメンバーとの集合写真。穏やかで温かい雰囲気ながらも真摯(しんし)に研究に取り組む方が多く、刺激を受けています。中段左端が坂内先生、上段左から3番目が筆者 ある日のスケジュール ビオラを弾く時間は心の癒やしになっています 07:00 起床・朝食 09:00 研究室のセミナー(オンラインで論文紹介や進捗(しんちょく)報告を行います) 11:00 TWInsへ移動(早稲田大学の生命系の研究室が集まった施設です) 12:30 実験(生命科学系の実験では反応が出るまでの待ち時間も多く、その間に昼食をとったり論文調査をしたりしています) 19:00 帰宅・夕食 20:00 楽器練習(毎週末の市民オーケストラの合奏練習に向けて、空いた時間にビオラを弾いています) 23:00 就寝準備 24:00 就寝
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