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A Student’s Mission to Keep Traditional Craft Techniques Alive Through Documentation and Practice

A Student’s Mission to Keep Traditional Craft Techniques Alive Through Documentation and Practice
「伝統工芸を身近なものとして感じてもらいたい 」 社会科学部 2年 秋山 友花(あきやま・ともか) 早稲田キャンパス 14号館にて 伝統工芸と聞くと、「歴史あるもの」「敷居が高そう」というイメージを抱く人が多いかもしれません。しかし、そんな伝統工芸の世界に真正面から向き合い、自らの手で触れ、未来へとつなげようとする早大生がいます。秋山さんは、中学時代に出合った、国の伝統工芸品に指定されている地元・群馬県伊勢崎市の絹織物、伊勢崎絣 (いせさきがすり) に魅了され、高校時代に唯一の職人・齋藤定夫さんの下に通いながら技術を学びました。現在は、その制作方法や技術のアーカイブ活動に力を入れています。そんな秋山さんに、活動の原点から現在、そして今後の展望を聞きました。 ーー伊勢崎絣と出合ったきっかけを教えてください。 中学3年生の受験期が終わった後、伊勢崎絣の展覧会に行ったことがきっかけでした。もともと伊勢崎銘仙(いせさきめいせん)という織物に興味があり調べていたところ、職人がもういなかったり、技術が残っていなかったりして。でも、伊勢崎絣には、齋藤定夫さんが職人として今も活動されていると知りました。 伊勢崎絣は、染色しない箇所を熱で収縮する独自のテープで縛り、染料に浸す方法で染め、織機で糸を織り合わせることで模様を作るのですが、全てを手作業で行います。齋藤さんの作品は、製作時間が想像できないほど本当に細かく作られていて、職人としての熱量や遊び心に一気に惹かれ、展覧会後すぐに「工房に行かせてください」と齋藤さんに電話をしました。毎日工房に通い詰め、齋藤さんの作業を見ているうちに、「これは自分で実際に手を動かさないと分からないな」と感じたんです。自分でもやらせてもらい、やればやるほど知らないことが出てくることが面白くて、気付いたら完全にハマっていましたね。 写真左:齋藤さんの作業の様子。染色し乾燥させた緯糸 (よこいと)の束 を一本の糸に分解している 写真右:齋藤さんに見守られながら反物を織る秋山さん ーー高校生の間、技術習得のために工房に通い続けた理由や原動力は何ですか? 理由として大きかったのは、齋藤さんが「本物は自分で実際に知らないと語れない」とおっしゃっていたことです。毎回工房に行くと、1時間くらいいろいろな話をするのですが、技術面だけではなく経験や考え方を聞くことができて。もっと熱量を注がないと、伊勢崎絣に関われないな、と思いました。 一番大変だったのは、技術が言語化されておらず、見て覚える部分が非常に多かった点です。例えば、「なぜこのような染め方が良いのか」など、技術の意図を一つ一つ自分で理解し、不明点は全部質問してメモし、また実践する、の繰り返しでした。 加えて、外での作業が多い伊勢崎絣の工程は、太陽の光が均等に当たる午前中にやることが多く、高校に通学しながら限られた時間帯にどれだけ工房へ行けるかという点も大きな課題でしたね。長期休暇中も通い続けた結果、目標としていた高校の卒業式での自作の着物着用も達成できました。周囲の人や家族も喜んでくれ、発信を続けたことで友人も興味を持ってくれて、伊勢崎絣を知ってもらうきっかけとなった点も良かったです。 高校の卒業式にて ーー現在はどのような活動をしていますか? 大学入学後は、伊勢崎絣に関するアーカイブの制作に力を入れています。これまで見てきた制作の工程や齋藤さんと4年間関わってきた中で記録してきた写真、音声などを整理し、現在の伊勢崎絣のリアルな姿を知ってもらえる環境を作ることを目指しているんです。伊勢崎絣には、現場に行かなければ分からない情報が多く存在します。糸の張り具合や染めのわずかな違いや作業の順序、判断の基準などは、実際に体験しなければ把握できません。そうした情報を言語化し記録として残すことで、今後学ぶ人にとっての手掛かりになると考えています。 この取り組みの一環として、2026年3月に伊勢崎絣をさまざまな面から探るフィールドワーク「 伊勢崎絣から見える感性的価値を色んな視点から可視化する vol.1 」を地元、群馬県で開催しました。齋藤さんの思考や哲学を知ったり、工房での制作体験をしたりと伊勢崎絣の現状を五感で感じてもらう内容で、SNSでの広報によって、山口県などの遠方からも含めて老若男女さまざまな方にお越しいただきました。 今も齋藤さんとは定期的に電話をしたり、実家に帰ったときは必ず工房に行くようにしています。すごく温かく迎えてくださって、自分の中では第二の居場所のような存在になっています。 写真左:染色し、乾燥させて束になった経糸 (たていと) を次の工程に向けて割く齋藤さん 写真右:3月のイベントの様子。写真は、伊勢崎絣の醍醐味(だいごみ)でもある模様を作る工程である“くくり”をレクチャーしている様子 ーー伝統工芸を継承していく上で大切なことは何だと思いますか? 齋藤さんと関わる中で、固定観念に捉われない視点を持ち続けることを意識していたのですが、この1年間、より多くの方と壁打ちをする機会が増え、自分が伊勢崎絣や齋藤さんに対して保守的な考えに縛られていることに気が付きました。なので今は、もう一度初心に返って、伝統という大きな存在として受け止めるより、一回自分の目で見て、ありのままを理解することを大事にしています。「価値ある物だ」というフィルターをかけすぎずに、自分の視点で観察して、考えて、自分なりに伊勢崎絣の輪郭を作っていく感覚ですね。 ーー今後の展望を教えてください。 2026年11月に伊勢崎市で展覧会の開催を予定しており、それに向けてアーカイブの整理を進めています。これまで蓄積してきた経験や記録を一つの形として提示する、初めての機会です。 また、12月には建築を学ぶためにデンマークに留学するのですが、「文化をどうやって可視化して次代につなげるか」という手法を修得し、伊勢崎絣にも応用していきたいです。建築やデザインという視点から、伊勢崎絣の技術と文化がこれからも育っていき、多くの人に関心を持たれ、関わってもらえるような仕組みを創ること。そして、伊勢崎絣にある遊び心や知恵にワクワクしてもらえるような入り口を整えていきたいと思っています。 ーー早大生にメッセージをお願いします。 大学生活は、好奇心のままに動くのが一番良いと思っています。何か一つでも「面白い」と感じる対象があったら、実際に現場へ行ったり、当事者に会ってみたりすると、どんどん次の縁につながっていくので。早稲田は多様な人とつながれる環境があるので、大学のネットワークを生かして、自分の興味のままに動いてみてほしいと思います。 2025年12月に福井県で、 ノカテ のニホンスイセン栽培を手伝う秋山さん。好奇心のまま、伊勢崎絣の活動以外にも興味を持ったら行動に移すそう 第925回 取材・文:早稲田ウィークリーレポーター 商学部 2年 照井 雄一朗 【プロフィール】 群馬県伊勢崎市出身。早稲田大学本庄高等学校卒業。趣味は、日本や世界のさまざまな伝統工芸品の産地を訪れること。好きなワセメシは、「 韓国料理屋 ドダム 」。
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