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A Waseda Student’s Time in Brunei Bridging Nations Through Kendo

A Waseda Student’s Time in Brunei Bridging Nations Through Kendo
「10年続けた剣道が、世界と触れ合う鍵になった」 政治経済学部 3年 越智 昊思(おち・こうし) 早稲田キャンパス 3号館2階にて 外務省が主催し、 一般社団法人日本国際協力センター(JICE) が実施する対日理解促進プログラム「 JENESYS 」は、アジア大洋州で日本に関する関心・理解を深め、外交基盤を拡充する事業です。このプログラムに参加し、ブルネイ・ダルサラーム国(以下、ブルネイ)で武道をテーマに1週間の交流活動に携わった越智さん。日本とブルネイの交流の先にはどんな未来があるのか、現地で感じたことや帰国後の活動、そして普段のキャンパスライフも交えて聞きました。 ――ブルネイへ行ったきっかけや、現地での活動内容について教えてください。 同じ授業を取っていた友人が過去に参加していたのを知ったことがきっかけです。参加しようと思った決め手は、ただ海外に行って交流するだけではない、外務省主催ならではの濃密な活動内容でした。プログラムの約半年前から募集や選考が始まり、 JETRO(日本貿易振興機構) やブルネイ柔道連盟会長の方による事前学習会を経て、2026年1月28日~2月4日にかけて首都バンダルスリブガワンを中心に活動しました。現地では日本国大使館への表敬訪問から始まり、文化・青年スポーツ省の担当部長とのお話、現地剣道連盟との合同練習、中学校での文化交流、大使館や連盟の職員をお招きした最終報告会など、いずれも貴重な経験でした。 写真左:ブルネイの文化・青年スポーツ省への表敬訪問および意見交換 写真右:在ブルネイ日本国大使館を表敬訪問 ブルネイは、東南アジア・ボルネオ島北西部に位置するイスラム教国家です。面積は三重県ほどしかなく、人口も50万人程度ですが、石油資源が豊富で、1人当たりの国民総所得(GNI)は日本を上回ります。石油収入のおかげで所得税や消費税が無く、教育は無償、街やインフラも整備されていて治安も良好。女性の社会進出も比較的進んでいます。 JENESYSにはさまざまな国のプログラムがありますが、ブルネイを選んだのは、こういった特徴を知っていて以前から興味を持っていたからです。加えて、今回のプログラムのテーマが「武道交流」だったのが決定打でした。私は剣道を10年ほど続けていて、自分の経験や強みが生かせると思ったんです。 JENESYSプログラム最終日の報告会にて、現地でお世話になった方々との一枚。日本からは6名の学生が参加し、剣道・柔道・空手経験者がそれぞれ2人ずつというメンバーだった ――日本の剣道は、ブルネイではどのように受け入れられたのでしょうか? 今回訪れた時点で、ブルネイの剣道の競技人口はたった50人程度だったそうで、競技振興のために、ブルネイ剣道連盟が国際剣道連盟(FIK)に加盟する手助けがしたいと思い、プログラムに参加しました。現地の剣道連盟との合同練習を機に、8歳から40代の幅広い年齢層の方々と意見交換をした結果、意思決定機関がないこと、指導者不足、防具不足などのブルネイ剣道連盟の課題点が見つかり、FIKに加入するために必要なことが明確になりました。 JENESYSのプログラムの一環で剣道を教えている様子 他方、現地中学校との文化・武道交流をきっかけに、中学生に日本と剣道を身近に思ってもらえたことで、剣道部員の数が5倍に増えたと聞いており、手ごたえを実感しています。背景には、ブルネイをはじめ東南アジア各地で盛んな「プンチャック・シラット」という武道の存在が大きいです。体感的には日本の空手よりも激しい武術で、礼節や規律を重んじる、日本の各武道と共通する精神が根付いています。 また、ブルネイは全般的に日本文化が知られており、車はほとんどがトヨタ車で、『ドラえもん』や『ポケモン』も見かけました。『鬼滅の刃』や『るろうに剣心』も有名で、剣道自体はもとから多くの方が知っていて、日本の漫画の影響力に感動しました。 ――帰国後はどのような活動に取り組んでいますか? 今回の滞在で得た知見を広めるため、各地で報告会を開いています。まずは、プロジェクトに一緒に参加したメンバーの故郷である鹿児島県湧水町で、小・中学生や保護者を対象に行いました。参加者のブルネイの認知度は低く、海外旅行経験者もほぼいなかったため楽しんでもらえるか不安でしたが、ブルネイ一国に固執せずに国際交流のおもしろさを少しでも伝えること、双方向的な体験をしてもらうことを意識し、好評を得られました。 4月末には、内容を大学生向けに広げ、津田塾大学でも講演を実施しました。いずれは早稲田大学でも、ブルネイの駐日大使をお招きして、単なるブルネイの紹介だけではとどまらない、二国間の交流の歴史や、今日のエネルギー事情、石油に依存した経済の打破をテーマに深く掘り下げる企画を開催したいです。 写真左:鹿児島県湧水町での講演の様子(2026年3月)。右から2人目が越智さん 写真右:在日ブルネイ大使館を訪問し、大使に活動報告をする様子 また、JENESYSメンバー2人とJICE職員と在日ブルネイ大使館を訪問して大使とお会いし、活動報告と今後異文化交流イベントを開くにあたっての協力をお願いしてきました。各国の大使館では、バザーなど自国文化を紹介するイベントを開くことがありますが、ブルネイにもそのような場があったらいいな、と考えています。 グリンタンガンという伝統的な打楽器や、アンブヤット(サゴヤシから作られるデンプン質の食品)という郷土料理に日本で気軽に触れられる機会があっても良いですし、ブルネイに親しみを持ってもらえるための力になりたいなと。ブルネイでも、剣道をはじめ日本文化を紹介する機会を現地で設けてくれたらうれしいですね。 写真左:ブルネイの伝統的な衣装をまとう現地の人たち 写真右:ブルネイの伝統的な打楽器・グリンタンガン。8つの銅製ゴングが並んでいる ――活動を通して、日本とブルネイの交流活性化に、どのような未来を描いていますか? ブルネイは、産出する石油や液化天然ガスの大部分を日本に輸出しています。日本にとって重要なエネルギー供給国である同国との関係深化は重要だと思います。一方、多くの産油国と同様に、将来的な持続可能性を見据えて石油・ガス産業に支えられた経済基盤のさらなる多角化が重要なテーマで、その突破口として観光業が有力視されています。美しいモスク、熱帯雨林、世界的に有名な高級ホテル「The Empire Brunei」など観光資源はたくさんあり、しかも国土がそれほど大きくないので短期間で回ることができます。日本からの直行便も出ているので、東南アジア旅行の選択肢の一つとして日本でも広まってほしいですね。 写真左:現地滞在中に訪れた、首都バンダルスリブガワンに位置する世界最大級の水上集落「カンポン・アイール」 写真右:観光名所「オールドモスク(スルタン・オマール・アリ・サイフディン・モスク)」でJENESYSのメンバーと撮った一枚 ――今後、ブルネイ、そして世界とどのように関わっていきたいですか? 学生の間は、引き続きブルネイとの文化交流活動の企画・参加に取り組みたいです。湧水町での講演を通じて、都市部と地方の間で、国際交流に関する情報への接点に差があることに気づきました。学生のうちから国際交流に関われるプログラムは、JENESYSをはじめ多くありますが、そうした機会が必ずしも広く知られているわけではないと感じたんです。 この経験を踏まえ、今後は日本とブルネイの関係に関する発信にとどまらず、生徒・学生が国際交流に関心を持つきっかけづくりにも関わっていきたいです。自分自身も学び続けながら、より多くの学生が国際交流の機会に目を向ける一助となれるよう努めていきたいと考えています。 将来の進路はまだはっきりとしていませんが、大学で得た世界への知見を生かし、海外を舞台としたビジネスに携わる、日本文化を世界に売り込む、まだ知られていない世界の文化を日本に輸入する…というような、日本と世界の架け橋になるような仕事に憧れています。また、一連の活動の賜物である現地の知り合いを訪ねることも、待ち遠しく思っています。 第924回 取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター 法学部 3年 金井 秀鴻 【プロフィール】 夕暮れの熱海を背にした一枚 愛媛県出身。愛光高等学校卒業。 剣道同好会 (公認サークル)に所属。政治経済学部の 外国語地域副専攻制度 でロシア語を、 シュラトフ ヤロスラブ 教授(政治経済学術院)のゼミで日ソ・日露関係を学び、国際関係への関心を深堀りしている。早朝、または深夜の散歩とコーヒーを日課としている。好きなワセメシは「いねや」で、推しメニューはからあげ弁当。
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